・編集後記                          工藤 高己 

 私の好きなテレビ番組に、NHKで放送している「ブラタモリ」という番組があります。
タレントのタモリさんが江戸時代の古地図を片手に東京の街並の歴史を辿り、地形の移り変わりを散歩しながら
調べていくという内容の番組です。大都市東京の土地も意外と江戸時代の地形や形状が残っていて、
番組を見ながら江戸時代にタイムスリップしたような感覚になります。また、地形が変化した地域も、
その変化の理由を説明されると、その土地の歴史を感じて、とても面白いです。以前に放送された銀座編では
変わった里道が紹介されていましたので、ちょっと紹介致します。

ビルとビルの間に江戸時代から利用されている里道があり、払下を受けようとしたのですが許可が下りず、
苦肉の策として里道に24時間誰でも利用可能な自動ドアを設置している土地がありました。
  http://amatoboss.blog31.fc2.com/blog-entry-1292.html
上のブログ主が写真を撮っていますが、白い線が里道幅です。両建物は一つのカフェとして営業していて
営業時はカフェの中を通行することになり、営業時間外は両サイドにシャッターが閉まり、撮影者の後ろと奥にある
自動ドアで誰でも自由に里道を利用できるという面白いものです。里道の跡形もなく土地を利用しているケースは
よくあるのですが、自動ドアがある里道はここだけではないでしょうか?またこれは問題を解決に導く参考にもなります。
 番組の中でタモリさんはよく「土地は記憶している」と言っています。大きく変わってゆく大都市東京でも
その土地をくまなく観察すると、昔の形状が蘇ってその土地の歴史が分ってくると言うのです。

私たち調査士も土地の記憶を辿る仕事をしています。通常業務の中でも資料から境界を導き出していますし、
今回開設されたADRセンターでも、解決に導く一つの大きなツールであると言える筈です。
大分各地の調査士が土地の記憶の専門家として調べてみると面白いかもしれません。
調査士の場合は江戸時代からというより、地券発行からが重要になります。
大分の地券はどんなものだったのでしょう?ちょっと調べてみました。
  http://souzoku.sekine-jimusyo.com/history_registration.html
この地券発行から土地の所有と取引の自由が始まっています。ここから登記制度への礎となっています。
「土地は記憶している」はずです。境界紛争を解決するための歴史探索も
調査士の大きなスキルアップに繋がると思います。

これからも地元の頼れる調査士さんを目指して頑張りましょう!